学会の概要
会長挨拶
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ヨウ素学会 会長
千葉大学大学院理学研究院 教授
荒井 孝義
令和6年度より、ヨウ素学会会長を務めさせて頂くこととなりました。
皆様、ご存じのように日本は世界の約30%の供給を担う世界第2位のヨウ素生産国です。
ヨウ素学会(The Society of Iodine Science: SIS)の取り組みは、日本の貴重な輸出元素「ヨウ素」の有効利用を目的として、産業界、官界、学界が協力して1998年6月に創設された「ヨウ素利用研究会(The Forum on Iodine Utilization: FIU)」に始まります。昨年、2023年6月には、設立25周年を迎え、ヨウ素学会25年史が編纂されました。
「ヨウ素」という一つの元素に様々な分野の方々が集い、産官学の協働を柱に据えたヨウ素学会は、日本ならびに世界の中でユニークな存在であります。ひとえに、日本のヨウ素資源の重要性にいち早く気づかれ、FIUを設立、現在のヨウ素学会に発展されました多くの先生や諸先輩の尽力の賜物であり、敬意を表します。
この歴史有るヨウ素学会の会長を仰せつかり、大変光栄に存じますと共に、さらに発展させていかなければならない責務を実感しているところであります。
さて、ヨウ素学会の25年は、常に順風満帆であったわけではございません。社会情勢によりヨウ素を囲む経済状況も変動します。コロナ禍においては、学会活動そのものが大幅に制約を受けました。それでも、昨年度は、横田 善行 前会長(日宝化学株式会社 取締役)の下、対面でのシンポジウムを再開できました。昨年のシンポジウムに参加された方は、対面のシンポジウムの良さを実感されたものと存じます。
このようなヨウ素学会の運営に関わって頂いている皆様の弛まぬ努力によりまして、今日に至るヨウ素学会でありますが、他学会の運営状況も含めて俯瞰しますと、広く「学会」という組織体系の将来は楽観できるわけではございません。コロナ禍が続いたこともありますが、多くの学会で会員数が減少する傾向が見られます。
この中でヨウ素学会が生き残り、発展していくためには、常に新しい取り組みを行い、会員の皆様にタイムリーで魅力有る情報を発信し続けなければなりません。例えば、ヨウ素利用についても時代と共に注目される用途が変わります。最近では、国産技術による次世代太陽電池としてペロブスカイト太陽電池があります。ペロブスカイト太陽電池を構成する重要な元素がヨウ素であり、ヨウ素学会としても大変注目しているところであります。このような注目される分野が牽引し、その情報が幅広いヨウ素研究に波及することで、ヨウ素学会が益々発展していくことを願っております。
引き続き、魅力あるヨウ素学会を目指して参りますので、皆様のご理解とご支援を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
令和6年(2024)4月